連載11回目
⑩売り込まないことが大切
「価値を伝えなければ、存在しないのと同じこと」ですが、だからと言って、売り込みはいけません。
この時代、営業も店頭の接客も、売り込んでは失敗することのほうが多い。
売り込まないということは、セールストークをしない、ということです。
じゃ、どうすればいいのでしょう?
お客さまに役立つ情報や自分の思いを発信することです。
そうすると、お客さまが自ら買いたくなる。自ら判断して選んでもらえるようになります。
それがお客さまとのすごく良い関係になるわけです。
エステ社長の試み
ボクの塾に来ていたあるエステ会社の女性社長の例です。
このエステでは、施術に来られたお客さまの、普段のからだのケアのため、
遠赤外線の下着を販売しています。
社長が自分で着て、とてもよかったので、おすすめしているんですね。
でも、値段は高くて、1セット30万円くらいします。
社長が、この人はからだが冷えているから着たほうがいいな、と思う人にお話をして、
試着をしていただいていた。
ところが、あまり強く言っているつもりはなかったそうですが、
そのうち来なくなったお客さまが何人かいたんです。
それで気がついた。
あまりお客さまのことを考えていなかったんだなと。
エステをしに来ているのに、下着を買え、買えと言われたらイヤだろうなって。
そこで社長は考えました。
情報満載の小冊子を作ったのです。
『下着で変わるボディライン』という小冊子です。
内容はまず「正しい下着のつけ方」。
若い人たちには、下着のつけ方が間ちがっていて、健康に影響が出そうな人がとっても多いんだそうです。
そして、最後のほうにこのエステで扱っている遠赤外線下着の話が書いてあります。
この小冊子をどう使うのか?
お客さまが3回目に来てくださったときに、お渡しするのです。
人間関係ができてから渡すのがポイント。
さらに、小冊子をお渡ししてから、下着については一言も言わないようにした。
結果、今までは、1年で数点しか売れなかった30万円の遠赤外線下着が、
1年で15着も売れたのです。
お客さまは強要されるのはイヤなのです。それぞれ自分の都合があるわけですから。
急がないこと、無理にさせないことです。
安売りをしなくても、価値をしっかり伝えれば、絶対に大丈夫です。
売り込まないで価値を伝える、ということです。
売り込まないと、お客さまは安心して、あなたの店や会社を信頼してくれるようになります。
そしてリピーターになっていくのです。